AdaptiveGI: プラットフォームを選ばないリアルタイムGI

23.12.202529.12.2025

「AdaptiveGI」は、Unityのゲーム開発において、リアルタイムでグローバルイルミネーション（Global Illumination、GI）を実現するためのアセットです。

詳細はこちら：AdaptiveGI

AdaptiveGIとは

Global Illuminationとは、直接光だけでなく、物体に当たって反射した間接光の光の広がりや、光源からの光が物体に与える影響をシミュレーションすることです。これにより、より自然でリアルな光の表現が可能になります。

このアセットの最大の特徴は、プラットフォームを選ばないという点です。特に、モバイルやスタンドアロンVRといった、従来はパフォーマンスの制約からリアルタイムGIが難しかった環境でも、高品質なライティングを実現できます。

ベイク（Baking）からの解放

従来のUnityでのリアルタイムGIは、ライトマップと呼ばれるテクスチャを生成する「ベイク」という処理が必要でした。このベイク処理には時間がかかり、シーンの変更のたびに再ベイクが必要になるため、開発効率の低下につながることがありました。

しかし、「AdaptiveGI」では、このベイク処理が不要になります。

オブジェクトを移動させたり、マテリアルを変更したり、レベルデザインをやり直したりしても、その結果がすぐにリアルタイムで反映されるため、開発スピードが大幅に向上します。

また、ライトマップテクスチャが不要になることで、ビルドサイズを小さく抑えることも可能です。

数百ものライトをリアルタイムで

Unity標準のライトは、シーンに多数配置するとフレームレートが著しく低下することがあります。

しかし、「AdaptiveGI」では、独自の最適化された「AdaptiveLights」により、数百ものダイナミックなポイントライトやスポットライトを、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えながらシーンに配置できます。これは、モバイルデバイスでも同様に実現可能です。

また、このアセットは動的な世界やプロシージャルコンテンツにも最適です。

破壊可能な環境、プレイヤーが建築した構造物、あるいは自動生成されるレベルなど、ベイクされたライティングでは対応できないような変化する環境でも、リアルタイムGIがその真価を発揮します。

マテリアルや光の反射もリアルに

「AdaptiveGI」は、エミッシブマテリアル（Emissive Materials）やカラーブリーディング（Color Bleeding）にも対応しています。これにより、オブジェクト自体が光を発しているかのような表現や、光源の色が周囲の物体に反射して影響を与える様子もリアルに再現できます。光るオブジェクトを光源として扱うことも可能です。

さらに、シャドウ（Shadows）も、パフォーマンスに優れたワールドスペースレイマーチング（world space ray marching）を用いて表現されます。

これにより、本来ならパフォーマンスを大きく低下させる多数のシャドウキャストライトも、効率的に処理できます。スカイライティング（Sky Lighting）やオクルージョン（Occlusion）も、単調なアンビエントライティングではなく、シーンの状況を考慮した深みのあるライティングを実現します。